
畳屋の気づき:居酒屋の畳施工から学んだ大切なこと
[2015年12月17日 01時30分]
畳屋の気づき:居酒屋の畳施工から学んだ大切なこと

国産畳と畳職人
こんばんは?おはようございます? 見る時間であいさつが変わるのであえて言おう。 明けましておめでとうございます!!!(きっぱり)
昨晩夜半過ぎから今年のM1をやっと全部見て、その結果、見ながら食べた焼きそばUFOにストマックをやられている僕です。
畳の難しい現場と寸法へのこだわり
さて、畳の話なんですが、難しい現場や合わせづらい寸法だと、ついつい「ちゃんと収まるか否か」に意識をとらわれてしまいがちです。特に、商業施設での畳施工は精密さが求められます。
実際に、僕が先日納めたお洒落な居酒屋さんも寸法が難しく、次のような不安がありました。
- ちゃんと収まるだろうか?
- さらに、ちゃんと仕上がるだろうか?
そのため、綿密に寸法出しをきちっとし、慎重に計算して「よし、これなら行ける」と判断しました。
居酒屋への畳施工と最初の安堵感
そして、いよいよ納品の日を迎えました。
1枚1枚綺麗に収まっていく度に、徐々にホッとしていきました。そして、全部収まると、「やはり良かったー」という安堵感に溺れてしまいました。
もちろん、畳寄せの無い部分は多少動く可能性がありましたが、それでも滑り止め加工はしっかりとしたから大丈夫だろう、と考えていました。
「バッチリ!」
オーナーはまだ来てなかったけれども、電話で「完了しました!」と告げて帰宅することにしました。
その後、車を家に向かい走らせていると、突然チリリンと電話が鳴りました。
もしもし!!
予想外の問題発生
「でかい電話にすいません。佐野さん。畳が動くんですが。」
これに対して、私は「いやいや滑り止めシール貼りましたし、寄せがないので、多少は動くのは仕方ないですよ!」と答えました。
しかしながら、相手は「いや。これじゃ危ないのでどうにかして下さい!」と強く言います。
「えっーー。畳屋の僕にはこれ以上は…」と言いかけましたが、
「どうにかして下さい。」という言葉で遮られました。
大切な気づき
この時、僕は深く反省しました。実は、納品後に後ろ髪引かれるような仕事をしないように、また何か喜びの声を頂けるように動こうと決めていたはずなのに、その初心を忘れていたのです。
残念ながら、寸法にとらわれた現場で、納品後の電話はお願いではなく、問題の指摘だったのです。正直なところ、恥ずかしいことに、僕がかなりの愚か者でした。
なぜなら、お客さんにとって僕が畳屋だろうと何者だろうと関係ないからです。
- いくらへり幅を細くしてスタイリッシュだろうと、
- また、滑り止めしてようが、してなかろうが、
結局のところ、居酒屋のお客さんが使いづらければ、なんの意味もないということです。
特に商業施設では、安全性が最優先事項です。実際に、最近の研究によると、飲食店の床材は適切な滑り止め処理が施されていないと、事故のリスクが6倍も高まるそうです。つまり、見た目や寸法の完璧さよりも、実用性と安全性が何よりも大切なのです。
畳の本当の価値とは
今回の場合、根本的には畳を敷くことでより快適にお客さんに飲んで食べて楽しんでもらいたいというオーナーの思い、それに応えられるか否かが問われていました。そう、良い畳の、良い畳屋の神髄はまさにそこにあるのです。
したがって、大工じゃないからとか、畳自体悪くないからとか、そんなちっぽけなプライドより、誰が、いつ、何のために、どう使っていくのだろうか?それを想像し、ヒアリングし、配慮すべきだったのです。
確かに、あくまで畳屋は畳しか作らないとしても、しかしながら想像さえしていれば、より快適に使っていくためには、
- 大工さんにこうしてもらったほうが良いですよ、とか
- あるいは、大工さんを紹介するとか
畳屋レベルでも最大限できることがあったはずなんです。というかありました。
問題解決と学びの時間
そこで、僕は迷わず仕事の段取りを変更し、急遽また居酒屋さんへ向かいました。そして、オーナーの了解を得て、クッションフロア用テープで動かないように丁寧に固定しました。
なお、商業施設での畳の固定方法には、専用の滑り止めテープやシール、さらには床面との密着性を高める特殊コーティングなど、様々な方法があります。今回の状況を考慮した結果、クッションフロア用テープが最適だと判断しました。
このような対応をしてこそ、初めて畳の柔らかさだったり、断熱性だったり、スタイリッシュにこだわったヘリ幅だったり、デザインだったりが本当に生きてくるのです。
言い換えれば、いくら高級素材でも、ブランドのい草でも、かっこよくても、お客様の願っていた思いにそえなければなんの商品価値もありません。つまり、全然動いて駄目だけど癒されるワーっとはならないのです。
例えるなら、子供が病気で体調悪いのに子供のヘアースタイルばかり気にする親はいません。
例えは微妙ですが(笑)
畳職人としての心構え
今一度自分に書いておきます。
どんな商品であれ、
- まず、だれが
- そして、いつ
- それから、どこで
- さらに、何のために
- 最後に、どうやって使うか?
を常に念頭に置いて提案すべきである。
もし、それが想像できないならば、どんなに優れた技術も設備も単なる自己満足に過ぎないのです。
うむ。
これからは、あの居酒屋さんの畳がたくさんの人を快適に過ごす時間に貢献できますように、と心から願っています。
おわりに
決して酔っぱらったおじさんがはずみで畳に乗り、動いてしまって、怒って、畳を剥いで、投げ、投げ飛ばした畳に乗って、タオパイパイのように僕を殺しに来ませんように。(笑)
注意:タオパイパイ知らない方はドラゴンボール8巻あたりを見てね!!
最後に、居酒屋での畳施工は、一般住宅とは違った注意点があります。具体的には、人の出入りが多く、お酒も入るので安全性と耐久性が特に重要です。そのため、畳の固定方法、素材選び、定期的なメンテナンス計画まで、すべてを総合的に考慮した提案が畳屋としての真の価値を高めるのです。
ほっこりしようぜ
おしまい
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