い草農家さんのこと

The Soul of Japanese Craftsmanship

い草農家の背景

一本一本に宿る魂の営み。日本の伝統と誇りを守り続ける人々の物語

い草のこと About Igusa

長い日照時間、豊富な水量、水はけの良い土壌が必要。四季のある日本だからこそ、高品質ない草が育ちます。約一年六カ月の丁寧な栽培期間を経て、一本一本が畳表として織り込まれていきます。国産い草の98%が熊本県八代市産。伝統と技術が息づく日本の誇る生産地です。

心と体の健康

心と体の健康をサポート

い草に含まれるフィトンチッドは、森林浴と同様の効果をもたらします。副交感神経を優位にし、セロトニンを増加させることで深いリラックス効果を生み出し、自律神経を整えます。また、NK細胞をはじめとした免疫機能を活性化させ、体の防御システムを強化します。その結果、質の高い睡眠と集中力の持続をサポートします。

空間の快適化

住空間の快適化

い草は表面の無数の気孔とスポンジ状の内部構造により、優れた温度・湿度調整機能を持っています。綿の2.5倍もの吸湿力と放湿力で室内環境を自動調整し、夏は涼しく冬は温かい快適な空間を作り出します。また、適度な弾力性によって衝撃を吸収し、安全で心地よい生活空間を提供します。

空気の浄化

空気の浄化と清潔な環境

い草には空気中の有害物質を吸収する優れた能力があります。シックハウス症候群の原因となる化学物質や、工場・自動車の排気ガスなどを効果的に除去し、室内の空気をクリーンに保ちます。さらに、アンモニアや汗のにおいの原因物質も吸収・分解する消臭効果も備えています。

抗菌・殺菌効果

自然の抗菌パワー

い草には優れた抗菌・殺菌効果があり、特に水虫などの菌に対して効果的です。これにより家庭内の衛生環境を自然な方法で整え、清潔な生活空間を維持します。古来より日本人がい草製品を愛用してきたのは、こうした自然の力を経験的に知っていたからです。

い草の危機 Crisis

6,000軒 → 220軒

1989年には6000軒を超えていたい草農家が、現在は約220軒にまで減少しており、私たちはこの現状に強い危機感を抱いています。畳文化の衰退は、その魅力や奥深さが広く知られていないことが大きな要因です。

畳やい草には、日本人が長年培ってきた知恵や精神性が込められています。効率や速さばかりが重視される現代において、い草農家たちの姿は、人としての温かさや優しさ、本当の幸せについて深く考えるきっかけを与えてくれるのです。

減少するい草農家

い草農家さんの魅力 Farmers' Passion

い草生産者さんは、収穫まで約一年半かかるい草の生産工程に一切の妥協をせず、強いこだわりと愛情を持って育てています。減少の一途をたどるい草農家たちですが、その一人一人が深い想いを持って、い草一本一本に宿る魂の営みを大切にしています。

「モノ作りはヒト創り」「い草は日本文化の誇り」「自分の子どもにとってより優しい畳表を創りたい」

様々な哲学とこだわりを胸に、より品質の高いい草を追究し続けています。その情熱が、国産い草の最高品質を支え、世界に誇る日本の伝統を守り続けているのです。

しかし、い草農家さんは丹精込めて作り上げたい草がどのようなお客様に届いたのか、また喜んでもらえたのかが分からないまま、い草を育ててきました。

い草農家の仕事

モノとココロの循環 Connecting People

佐野畳屋では、い草農家さんとお客様をつなぐ「モノとココロの循環」を大切にしています。丹精込めて育てられたい草が、誰の手に渡り、どのように喜ばれているのか——その循環を作ることで、い草文化の価値を次世代へと伝えていきます。

1

生産地訪問

毎年数度、熊本県八代市の生産地を訪れ、い草農家さんと共に作業に汗を流します。直接対話を通じて、い草へのこだわりや想いを聞き取ります。

2

お客様への還元

農家さんから聞いた想いや栽培過程での苦労、い草が持つ本来の価値をお客様に伝え、単なる商品ではなく、人の想いが込められた文化として提供します。

3

お客様の声を生産者へ

お客様から寄せられた喜びの声や感想を農家さんに伝えることで、見えなかった「その先」の繋がりを作り、生産への誇りと活力を生み出します。

4

産地見学会の開催

お客様を直接い草農家さんの元へお連れし、定期的な産地見学会を開催しています。生産現場を実際に体験することで、い草農家さんとお客様の間に直接的なつながりが生まれ、相互理解が深まります。

このような取り組みを通じて、い草と畳の文化を守り、次世代へと継承していくことが私たちの使命です。モノの循環だけでなく、ココロの循環を大切にすることで、日本の伝統文化に新たな価値を吹き込みます。