問い合わせを頂いた。
設計と施工を請け負う業者さんからでした。
内容としては
”お客様のお宅の畳の造り替えをお願いしたのですが、この度はへりなし畳ですがダイケンの紙の畳表を勧められました。
国産のイグサでできると思うのですが、今はこれがいいといわれます。
他の畳屋さんでも同じことを言うようで、作業性の良さやクレームになりにくい等理由は色々あるとわかりますが、
実際の所を知りたくてネットで検索しまして、御社HPをみせて頂きました。
代替わりして若い職人さんが頑張っているからと思いお願いしているのですが、亡くなった先代は一度も言われたことがなかったので、
あっさり納得という気になれません。
大変ぶしつけな質問かと思いますが、へりなし畳は手間の関係でそういうのでしょうか?
国産畳(ヘリ有)は昨年も頼みました。 ”
とのことでした。
すごく為になる質問でしたので、皆さんの参考になればと一部紹介させて頂いています。
おそらく比べることもなくダイケンさんの畳表などをお勧めされる方も多いのではないかと思われます。
僕の知り合いの方もダイケンさん一点張りでお勧めされたようですが、香りが好きだから絶対天然が良いと言ったそうです。
話を戻しますと僕はその質問に対してこう答えました。(こちらはカットなく引用しています)
”まずもってお問い合わせありがとうございます。
残念な話しですが、最近はそういった畳屋さんが非常に多く、生産者さんも自信を無くす部分もあり
憤りに近いものを感じています。
い草のボウズ畳はダイケンのモノに比べ手間を要します。程よく湿らせたり手間をくわえなければい草が折れてしまうためです。
その畳屋さんはおそらく十分な設備(知識・技術)がないか、面倒だと思っているのかもしれません。
また話が少し違いますし
私のまわりの話で○○様が依頼された畳屋さんとは事情が違うかもしれませんがご参考になればと思いお伝えしますね。
私はダイケンさんなどの表(いわゆる工業表)をお勧めする畳屋さんが増えていることに対して3つの理由を感じています。
(直接聞いたわけではないのですが)
①お手入れ手間の少なさをうたっていますがクレームを恐れている畳屋さんが多いこと
天然ものは天然ゆえに時期によってカビが生えることがあります。(お手入れ、環境作りしだいですが)
畳替えの打ち合わせの際そのことを十分に伝えていなくていざカビが生えた時に
『見に来て』
と呼び出されるのが面倒だと思っている方が多いように感じます。
②材料屋が勧めてくる
私のまわりの畳屋さんはみんな材料屋さんに勧められてダイケンさんを推しています。(私も勧められましたし(断固ことわりましたが))
もちろんみんながみんなではありませんが、材料屋さんにとっても供給が安定している工業表は取扱いしやすいんだと思います。
大量に仕入れたら安いなどの特典もあるようです。
③生産者さんが少ない
い草の生産者さんが年々減っています。(後継者問題や野菜の高騰などの理由)
ボウズ畳に使用する畳表は目積表という通常より畳の目が細かいものの方が綺麗に出来ます。
特殊な織りになるので生産者さんサイドでも織り手が少なく流通が少なくなりました。
つまり目積表を必要なときに使うためには、閑散期から在庫しておく必要があります。
在庫はリスクと考える方が多いので、要る時にすぐ仕入れが出来る工業表をお勧めしているのだと考えます。
私は色々な畳表(工業表以外)を常に在庫しています。
またありがたいことに産地とのつながりも強く、仕入れも優先してもらえます。
これからさらにその問題(い草を持ってなく工業表を勧めるという問題)は深刻化していくと思っています。
だからなおさら私は断固い草推しですし、自己的な気持ちだけじゃなく、本当にお客様にい草が役に立つと思っているからです。
見栄えの新しいダイケンさんですし、畳屋さんが勧めるならやってみようかしらくらいのもんでダイケンにする方もおおいです。
ぜひしっかりお客様にい草とダイケンさんの違いをお伝えいただき最善な畳をお勧めして頂けたら幸いです。
長くなりまして申し訳ありません。
一部の偏った意見かもしれませんがまたいつでも聞いてもらえたらお応えします!!!
お客様にとって良いモノをどうぞよろしくお願い致します!!!”
最後の一文以外は利己的に聴こえる方もいるかもしれません。
だけど僕は自己満でい草推しなわけではありません。
絶対いいと思ってるからでもありますし、例えばお客様にとってい草じゃない方が絶対良いと判断した時には工業表もお勧めしたりします。
「フローリングにした方がいいと思います」とか言ったりもします(笑)
だけど目の前の売上より長く愛されて続く畳屋さんでありたいし、そんな時間とか空間を作りたいんです。
絶対その方が喜んでもらえるし、楽しいと思っています。
だからこそ畳だし、い草だし。。
こんな素敵なモノはなかなかないですよ本当に。。
長くなりましたが、畳替えの際に悩まれたり、疑問に感じている方みていただきたく書きました。
皆様にとって最善な空間・時間となり、最高な”住まう”が訪れますよう祈念いたします
写真:”三宅建築工房さんの建てたお住まい”より
ほっこりしようぜ
おしまい