一昔前、い草が青いダイヤと呼ばれる時代があった。
い草生産者さんは息子たちに、
「い草は儲かる。」
と跡継ぎを勧め、跡継ぎを特に迷うことなく、産地は栄えた。
この時期(もう少し前だけど)は一面い草、い草、い草で、い草御殿が建ち、きついながらも田んぼ一反に収穫できる量も今の倍近くあり、(畳表一枚あたりの本数が違うから)活気に満ち溢れていた。
時は流れ、建物の洋風化、外国産い草表や、多種に富んだ工業表(ダイケン表、セキスイ表など)の普及により、
平成元年を境にみるみるうちに農家数、栽培面積が減少し、
当時7000軒あった農家数は今では500軒まで姿を消した。
畳表一枚あたりに打ち込むい草の本数は基準ができ、田んぼ一反に収穫できる量は半分になり、
燃料の高騰、資材の高騰、しかし畳表の価格はほとんど変わらない。
そんな状況が続き、機械メーカーの廃業、撤退、跡継ぎを勧められない。そんな問題に今直面しているい草業界。
さあ。どうする?
畳屋を辞めるか?い草以外の商品を勧め、商売を守るか?
僕はとことん向き合うことを決めた。
500軒ある農家さんはなぜやると思う?
元々い草農家で今は野菜を作っている農家さんが
『まだい草しよるんか?野菜ばせい。野菜は儲かっぞ。』
という誘いを断り、い草を選ぶ理由。
それは誇りであり、楽しさであり、生き様であり、責任であり、
そう。
い草は変わらず、い草だが、生産者の魂は年々そんな葛藤を越え研ぎ澄まされてきた。
当時は儲かると言う意味も含んで”青いダイヤ”と呼ばれていたが、
先日、”青いダイヤ”と呼ばれた意味を実感した。
上記写真は一切編集などせず、この輝きなんです。
この一本一本に優れたハニカム構造がひしめき詰まっていて、
それはまぎれもなく自然が生んだ強さと優しさであることが証明されている。
それが今ではその十分すぎるほどの素材力に、人の魂と、絆がプラスされ、
”日本の至宝”となった。
草の強さと優しさ、
人の強さと優しさ
バファリンの半分は優しさで出来ているが、
い草は100%優しい。
倉井さんにもメッセージを頂いた、
『良い草が取れていますよ!!!』
って。
ありがたすぎる環境。
草野さんも、田植え前のひと時の晩酌で少し酔ったとのメッセージ。
佐野畳屋の強さは、”絆”が生んだ素材力。
それに恥じぬよう、日々技術も研鑽しようと思う。
い草にこだわってるわけではない。
僕は心底い草とい草生産者さんに惚れこんでいるだけなんです。。
そしてそれを伝えていくことが使命であると思っています。
今夜、理念発表会があるのでここにも書いておこう。
佐野畳屋の目的理念
”モノ、コト、ココロを通じ、人間尊重、自然尊重、感動重視の三つを軸とし、
日本文化、故郷の誇りと可能性を伝導しつつ、身体と心に優しい、空間、社会作りに貢献していく。
行動理念
・人間尊重 一人一人の個性を尊重し感謝し、思いを共有していく。
・自然尊重 一つ一つの素材に感謝し、未来に誇る行動を行っていく。
・感動重視 如何なる時もわくわく忘れることなかれ、世の為、人の為に最高の感動を目指す。
ミッション
一生頼られる会社となること
さあ。やったるぜ。
素材力、人間力
日本のワンピース(至宝)は僕がつなげる。
畳王に俺はなる!!!!
ほっこりしようぜ
おしまい