ボクとい草の物語③
[2020年2月13日 09時51分]
さて、産地八代から無事地元福岡に帰ってきた僕。
あの風景や音が忘れられない。
シュッシュッ
思ったよりもずっとゆっくりと
シュッシュッ
一本一本丁寧に確かに織り上げられていくい草たち
畳にする際、寸法に合わせて、寸法より少し長めに切り、ほどけていかないようにするカラクリと呼ばれる作業があるのですが、
(写真手前結んでいるのもほどけないようにする方法の一つ)
長めに切ってた端切れが勿体無い。
長さにすると3センチから5センチ位?(職人によって違いますが)
5センチ織るのに何分かかるのだろうか?
そんな今まで考えた事もないことが脳裏をよぎる。
「行ってよかった。」
そのありがたみを感じれるようになっただけでも、心からそう思う。
そして産地を訪れた恩恵はそれだけではありませんでした。
本当に偶然なんですが、
お客様に依頼を受け、八代に行く前、発注していたひのさくらというブランド表6枚が届いてみたら、
先日訪れた生産者さんのものだったのです。
テンションMAX。(本当に嬉しかった)
この人この前行った人よ。ってまわりに言いふらしましたもん(笑)
この時顔の見える材料にこだわるシェフの気持ちが
少しわかった気がしました。
今まで、
「心を込めて縫いますっ」
とか言ってきたけど、
生産者さんの顔が想像出来るだけで、勝手に心がこもるんです。
あの人はあんなこと言ってたなぁ。
なるほど、さすがな表だ。
と偉そうに吟味しちゃったりして(笑)
「物作りは人作りなんです。」
僕の大好きな生産者さんの言葉ですが、
なるほど。
まさにその通りだ。
まだ後になってわかることですが、
い草は本当露骨に性格が出る。
時に残酷なほどに。
とにかく、あの方が長い時間かけ生産し、織り上げてくれた表を、想いを、
安易な作業で滞らせる訳にはいかない。
ちゃんとしたモノ、コト、ココロとして、物語にし
てお客様に伝えて行きたい。
そしてお客様と共に
「いやあ、良い表でしたねーー」
って一献酌み交わしたい。(笑)
そしてそのことをまた産地に行き、生産者さんにも伝えたい。
そして一献酌み交わしたい。
(飲んでばっかやん)
佐野畳屋の経営理念
「畳をつくる。未来をつくる。」
は、この思いを元に出来たんです!
そしてその物語はもがきながらもワクワクがとまらない最高のヒューマンストーリーなんです
そうしてたった一度の凱旋で、何をそんなに盛り上がってるんだろう?
くらいの盛大な盛り上がりを見せ、
はやくも一ヶ月後の二度目の産地行きを心待ちにする
単純な三代目なのでした。
ほっこりしようぜ
つづく
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