雷鳴で目覚めた朝。
小説”利休にたずねよ”でも雷鳴のシーンから始まるから、こんなのも悪くはないなと思ったけど、
ゴロゴロ言うたびにピクッってなる長男を見て、少し不憫に感じ、そして同時に強くなれよと思ったんです。
僕も小さいころ、不思議と親父の近くで寝ると、怖い夢見なかったんだよなー。懐かしいね。
「高い畳に張り替えたのに、すぐ傷んだのはなんで?」
質問を受けたんです。
質問というか10年目の疑問。
畳は、一度替えるとそんなに頻繁に替えるものではないから、価格だけを見ず、畳屋さんの価値感や思い、人柄(相談しやすいとか大事ですよね)など本質を聞きながら、少し早めに計画することをお勧めします。
昨日は、一軒打ち合わせに行きました。
いつものように、い草のサンプルと価格表を用いての見積もりをしたあと、話題は今敷いてある畳に。
「この部屋はよく使うけん、前の畳屋さんに強い畳をリクエストして
まあ良い価格のものにしたけど、すぐ痛んだよ。なんでやか?」
それは、高い畳が強いとは限らないからです。
まず、産地に行ったことのない畳屋さん(僕の先代を含め)は言います。
「これは、縦糸を麻と糸の二本仕立てで織ってて、長い草を使った高級なやつなんで強いですよ」
って説明します。
この時、産地は特段言わないことが多いですが、最近はお客さんの方から産地を尋ねられることが多くなりました。
(ありがたいことです)
仮に黙ってても国産付けてくれる良心的な畳屋さんだとしても、それは強い畳だという証明にはならないんです。
よくよく考えたらあたりまえのことなんですが、
草の強さと縦糸の種類は関係無いです。
そして仕入れ値が高いと強いと認識してしまう畳屋さんは多いです。
それはなぜか?
草を見てないから。
産地にすら行ったことがなく、草の良し悪しが綺麗かどうか、
何本詰まってるかどうかで決まるもんだと、悪い伝言ゲームから学んだ畳屋だから。
そういう時代だったといえばそれまでですが、
鍛冶屋を無くしたの、は研がなくていい包丁を売り出した鍛冶屋だと言ってました。
国産い草の衰退もまったくその通りだと考えます。
ニーズ、ブーム、そんなモノの向こうに日本文化として根付いた畳の本質があると感じています。
そして畳の本質を本当に伝えることが出来た時、本当のニーズがそこには必ずあると信じています。
畳の強さ=い草の強さ|張り替えで知っておきたいこと
話を戻しますと、
たて糸(い草を織っている糸)
これは、畳を織るのにすっごく大切なモノであり、い草の本数を織り込むにあたり重要ではありますが、
畳の強さはい草の強さです。
例え、たて糸が安いとされる糸一本仕立であろうが、草が強ければその畳は強いです。
佐野疊屋が契約させて頂いてる倉井さんの無染土表は
糸一本仕上げですが、かなりしっかりして強いです。
「この部屋はよく使うけん、前の畳屋さんに強い畳をリクエストして
まあ良い価格のものにしたけど、すぐ痛んだよ。なんでやか?」
ずばり、外国産の高級品だったかも。
ただ仕入れ値が高いだけの素材だったかも。
畳表を剥ぐ時にはそれが国産だったのかはわかりますが、
10数年敷いてる畳を見て、国産であったかは、確信できないことが多いです。
(艶々でなんとなくわかる時もありますけど)
「強い畳が良い」とのことだったので、
品種の違い、草のこと、色々お話しして、強い畳に決まりました。
畳を好きになってもらえる最後のチャンスだと思い、誠心誠意張替えをさせて頂きたいと思います!!
「香りが強すぎるのは嫌」だというのは日本人のおもてなしの心
近日法事ということであまり香りが強いのは嫌だということでしたので、相談の上、影干ししながら、施工を待つことになりました。
「香りが良いのにもったいないですね!」って話すと、
悩んでありましたが、「今日の日の為に替えましたーー」ってわざとらしいのが嫌だという、
日本人らしい考え方だと思います。
気を使わせず、さりげなくおもてなすのが日本の心(茶の精神)の気がしてるから。
お粗末様でした。
ほっこりしようぜ
おしまい