
本物の畳とは何か?五感で感じる伝統の魅力
[2025年4月30日 00時46分]
畳の真髄を追求する道のり
本物の畳を学び、軸を据え、そして喜んでいただける方に出会うことが、私の人生の命題となりました。しかし、まず「本物の畳とは何か?」を自分の中に定義づける必要がありました。
なぜなら、当時はさまざまな素材を使った畳が流通していたからです。パルプ紙をこよりのようにして樹脂コーティングを施し織り込んだ畳表や、ビニール性のもの、柔道畳はレザーでした。
畳の定義を考える
これらをひっくるめて畳と呼び、畳屋が取り扱うのですから、畳って一体何をもって言うのか分からなくなっていました。「畳屋の道具や機械で、同じような工程で作れるものを畳と呼ぶ」と法律で決まったのか?と思うほど自然に畳屋に受け入れられていきました。
しかし、産地の生産者さんは「あれは畳じゃない」と言います。(私もその派です)確かにい草では出せない長所があるのも認めています。(お風呂に敷く畳など)
佐野疊屋的畳の定義
ここで私は畳というものを定義したいと思います(あくまで佐野疊屋的見解です)。
私が定義する畳は、“五感で楽しめるのが畳で、五感に満たないのを畳風敷物と呼ぶ”です。
とてもふんわりとした定義ですが、生花と造花を比べていただければわかりやすいかもしれません。造花もある程度彩ってくれますし、枯れないのは良いのかもしれません。一方、生花は香りがしますし、風合いも違いますが、枯れてしまったり、虫を呼んだりします。

国産い草でヘリなし畳のモダンな和室
畳の価値と意義
どちらが良いかは、人それぞれの価値観に委ねるしかありませんが、「花」と言われたらどちらか?と問われれば、ほぼ全員が生花だと答えるでしょう。(と思います)
それと同じように考えていただいても良いですし、そうでなくても構いません。ただ私はそう思うということしか言えません。
畳が敷かれる空間は、ただの場所ではありません。家族が集う場所、大切な人と語らう場所、心を整える場所です。畳はただ敷かれるだけでなく、誰かの心を支える「土台」になるのです。
畳の歴史と伝統
そして、その畳は紐解くと様々な方々の誰かを思う心で出来上がっていったものなのです。
本来、”い草”という植物は畳のためにあるものではありませんでした。シルクロードを渡り日本に来た時、い草は薬草だったのです。それを歴史的に明確になっていない誰かが、い草や稲藁を敷物として使い始めたのが奈良時代とされています。
やがて貴族の暮らしの中に取り入れられるようになり、い草を畳表とし、今の形になったのは室町時代以降なのです。

沢山のい草
畳業の未来へ向けて
だから私は、畳屋を家業ではなく企業にする決意をしました。もっと多くの人に畳を届け、もっと多くの笑顔を作れる仕組みを作りたいのです。
それは一人でできることではありません。仲間や生産者さんたちとチームを組んで、一緒に未来を紡いでいきます。
畳は自然と人を繋ぎ、命の循環を支えるものです。この大切な循環を未来に残すために、私はこれからも畳を作り続けます。誰かの暮らしの土台となり、安らげる場所を作り続けます。
日々の暮らしこそが、もっとも尊いものなのですから。ほっこりしようぜ。

京の趣を育てるい草農家草野さんと国産い草のこだわる佐野畳屋
インスタグラムでは、畳やい草に関するほっこりする動画を毎週水、金で投稿しています!
ネットショップでは、究極に優しいがテーマの無染土置き畳や、おしゃれな畳縁を使用した畳雑貨、癒しの香りを放つ産地直送のい草を販売しています!
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