
い草刈り初体験記〜熊本県八代市での感動の一日〜
[2025年6月3日 02時49分]
い草刈りへの道のり〜2013年7月、運命の出会い〜
2013年7月初旬、私は熊本県八代市の草野さんのもとで、人生初のい草刈りを体験することになりました。
なぜい草刈りを選んだのか?
それは、畳の原料であるい草への興味と、日本の伝統的な農業への憧れが私を突き動かしていました。
深夜1時到着〜緊張の始まり
草野さんの作業場に到着したのは、真夜中の午前1時でした。
以前から、い草刈りシーズンでは朝5時から作業開始と聞いていたため、近くで車中泊をして準備を整えました。
初めてのい草刈り体験への心境
ワクワクよりもドキドキが勝っていました。
興奮しながらも仮眠程度の睡眠をとりました。
そして、午前4時55分、眠い目をこすりながら作業場に入っていきました。
釜あげ作業〜い草加工の重要な工程
午前5時スタート「釜あげ」の実態
「おはようございます!今日はよろしくお願いいたします。」
薄暗い中、午前5時から始まったのは「釜あげ」と呼ばれる作業でした。
釜あげ作業の詳細な流れ
この作業工程は少し複雑なので、時系列で説明します:
- 前日の朝:釜あげ作業完了。
- 前々日に収穫したい草:泥染め処理を実施。
- 乾燥工程:乾燥機で16時間の乾燥処理。
- 釜あげ当日:乾燥したい草を機械から取り出し。
い草の束の処理方法
直径25センチほどに結束されたい草の束を、光を通さない専用の袋に入れます。
その後、日の当たらない場所へ移動させる作業が釜あげの核心部分でした。
2時間の格闘〜汗と泥にまみれて
泥染めされたい草を袋詰めしていく
この釜あげ作業を約2時間続けました。
しかし、慣れない手つきで時間がかかりながらも、汗まみれ、泥まみれになりながらなんとか完了しました。
作業後の爽快感
その後、服を着替え、足と手を洗い、いただいた朝食の美味しさが五臓六腑に染み渡りました。
い草の泥染め工程〜伝統技術の継承
システム化された現代のい草加工
朝食後は、前日に収穫し井戸水シャワーで粗熱や泥などを綺麗に取ったい草たちを、泥染めし乾燥機に入れる工程へ移りました。
収穫したい草に付着した泥などを落とす様子
草野さんの作業場の特徴
草野さんのところではシステム化が進んでいるため、私たちのお手伝い工程はあまりなく、基本的には見学のみでした。
伝統的手法への驚き
ただし、一つ一つの何気ない作業にしっかりとした意味があることに、ただただ感銘を受けていました。
驚くことに、システム化される前は、1束ずつ手作業で泥に染めていたそうです。
想像するだけで大変な作業量です。
い草8カゴの処理完了
前日収穫した8カゴ分のい草(1カゴに約160束入り)を泥染め、乾燥機に入れる作業も終了しました。
そして時刻は午前10時前になりました。
いよいよメインイベント
ついに、い草の刈り取り作業に移る時間がやってきました。
い草畑での収穫作業〜緑のじゅうたんとの格闘
壮観な景色に魅了される瞬間
田んぼ一面に広がる緑のじゅうたんのようない草畑は、まさに壮観でした。
10時の休憩タイム
10時休憩でいただいたパンと飲み物を食べました。そこで、「良い景色だなぁ!」と少しお話もしながら見とれていました。
現実への回帰
しかし、その美しさに見とれている時間はすぐに終わり、い草収穫作業開始です。
ハーベスタ使用前の手作業
まず、い草が倒れないように支えていた網を外し、ハーベスタという専用の機械で刈り取りを行います。
い草を刈り取る専用のハーベスタ
機械導入の課題
ただし、機械を畑に入れるためのスペースは手作業で刈り取らなければならず、これもなかなかの重労働でした。
生のい草との初対面
初めて触る生のい草は、なんというか生命に満ち溢れていました。
杭抜き作業〜真夏の重労働
い草栽培の支柱システム
い草が倒れないよう網を張っています。
しかし、その網を張るために10メートル間隔ぐらいで杭が打ってあります。
杭抜き作業の手順
- まず網を外す。
- 杭を抜く。
- 田んぼ外の所定の場所まで運ぶ。
重労働の実態
ぬかるんだ田んぼの中を、一本1キロから3キロほどの杭を抜き、何本、何十本と背負って歩いていくわけです。
7月の過酷な環境での作業
しかも、田んぼがとにかく広くて長い。そして向こうまでが遠いのです。さらに時期は7月初旬。
体力の限界への挑戦 「くわっ!」という感じで、汗と水で着ていた服はあっという間にぐちゃぐちゃになりました。ただただ、生い草と向き合う時間でした。
ハーベスタからカゴへ〜丁寧な移し替え作業
品質への配慮が求められる工程
杭抜きの後、私が受け持ったのは、一束一束を黙々とハーベスタと呼ばれるい草収穫機から、乾燥機に入れる大きなカゴのようなものに移す作業でした。
草野さんからの貴重なアドバイス 「置き方一つで、仕上がりが変わってくるよ」と草野さんに教えていただきました。
約1年3カ月を要するい草の収穫であるい草刈り
い草の未来への想像 一束一束が畳表になり、畳になり、お客様の家まで届けられることを想像しながら、作業を進めていきました。
まだまだ続くい草刈りの一日
時間はまだお昼前でした。
原点の厳しさを実感 まさに原点は甘くありません。まだまだい草刈りは始まったばかりでした。
い草農家の日常 この体験を通じて、い草農家の方々の日々の努力と、畳という日本文化を支える大変さを身をもって感じることができました。
この記事は実際のい草刈り体験をもとに、い草栽培の工程や農家の方々の苦労を詳細に記録したものです。
日本の伝統的な畳文化を支えるい草農業の現実を、多くの方に知っていただければと思います。
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