佐野畳屋が福岡県田川市に根付かせてもらって約67年が経ちました。
その間、畳業界も大きく変わりました。
い草農家さんの数も全盛期に比べると10分の1以下で、
畳屋さんも同様なことが言えると思います。
また素材や道具を持っていきお施主様邸の庭先でやっていた祖父の時代から、
機械が出始め、工房に持ち帰って仕上げて持っていく時代となり、また職人が手仕事でする工程もずいぶん少なくなり、
今や手仕事は全くしないという畳屋さんも多くいらっしゃいます。
自分たちはそれをうまく融合しもっと良い畳に仕上げていこうというのと、その手仕事を今一度庭先ならぬいろんなところで
ご披露させていただき、畳ができるまでのたくさんの思いの部分を伝わる形にしていきたいなと考えております。
2月後半から3月で一度大任道の駅『さくら街道』さんにて手縫いイベントを開催する予定です。
日程が決まり次第またいろんなところで発信いたしますので、畳についての相談、また健康な暮らし、住まい方についてご興味ございます方は、
英彦山や大任温泉のついでぶらっと来ていただけたら嬉しい限りです。
さて、職人ありちゃんを迎え佐野畳屋の作業工程も変わってきています。
どうやれば良いものをできるだけ早く作れるようになるのか?
手で仕上げたほうが良い工程、また機械で仕上げたほうがいい場面、
価格設定も細かくし、時間に追われることなく
”職人もお客様も納得できる作り方”
を日々考えている次第です。
そこに素材に込められた思いや技術の美しさ、
生産者さんからバトンをいただき僕らがそれをお客様につなぐ
そこに感動が生まれると信じています
さて今は今週末に納品予定の三宅建築工房さんの畳を作っていますが、
少しだけその内容を紹介いたします。
写真は平刺し縫いという工程が終わった場面です。
一般的にはここで機械からおろすことなくそこで角を作り、返し縫い工程に進んでいきます。
ですが佐野畳屋は一度機械からおろし、角つくりの職人に角作りをやってもらいます。
当店でいうと私かありちゃんがやります。
おろさなくていいものをおろすということは一手間かかってしまいますが、一定の強度と針の運びにこだわりたいからです。
実はこの角止めという工程はたいていの畳屋さんはタッカー(ホッチキスのようなもの)でやっています。
田川市郡、筑豊エリア、福岡エリア入れても角止めを手でやる畳屋さんは稀になりました。
理由は簡単、タッカーが速いし誰でもやりやすいからです。
しかしヘリの折り方、縫い方、また縫う前の細工などは畳にとって非常に重要な要素だと僕らは思っていて、
時間がないと言い訳する前にどうやったらできるのかを考え、独自の流れが生まれました。
この1針1針の理由と根拠を考えどの順番でやるほうがいいのか、針を入れる角度出す角度はどれが一番いいのか?
そんなことを技術検討会の中で話し合いながら、今はこの形になりました。この先学びを深めるにあたり少し変わるかもしれませんが、
少しでも長持ちしてもらいたいし少しでも安全であってほしいし、見えない部分ですが少しでもかっこよく納めたい。
最近畳作りが楽しくて仕方ない。
この畳表は本来ヘリなし畳の時に使用する目積表という素材ですが、今回はそれに梅の花の畳べりをつけて仕上げています。
三宅建築工房さんが作る家とどういう風にマッチするのか楽しみです。
どうかお施主さんにも楽しく使っていただけますよう、しっかり仕上げてまいります。
ほっこりしようぜ
おしまい